ハンドドリップでは、残念ながら自分の思うような抽出ができない(失敗する)こともあります。

その原因について、田口護さんの著書「コーヒー抽出の法則」(36~37ページ)を参考にまとめます。
 

 
「蒸らし」の失敗例も紹介しています。
 
佐野俊郎さんのように「蒸らし」をしない淹れ方もありますが、ひとつの参考にしてみて下さい。


コーヒー抽出の法則
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6つのポイントやお湯の注ぎ方を外すとよくないコーヒーに

まずは田口さんが考える、よいコーヒーを淹れるためにおさえるべきポイントは以下のとおりです。

抽出のポイントまとめ
1 新鮮なコーヒーを使用する
2 適正なメッシュに均一に挽く
3 適正な湯温を保つ
4 十分に蒸らし濾過層をつくる
5 粉の周縁部には湯を注がない
6 抽出後半はスピーディーに行う

 
これらのポイントを外してしまうと、よいコーヒーにはなりません。
 
それが自分の淹れたいコーヒーと違うのであればそれは失敗といえるのではないでしょうか。
 

 
ポイントを外した豆では、このようなコーヒーになってしまいます。

鮮度の落ちたコーヒーでは粉が膨らまず十分に蒸らせない。
 
メッシュが粗すぎると湯が速く落ち、細かすぎると目詰まりを起こし抽出オーバー、つまり渋みが強い味になる。
 
メッシュが均一でないと味の成分もばらつきが出てしまい、狙った味を出すことが難しくなる。

お湯の温度と注ぎ方も重要です。

湯温はコントロールの際にも詳しく見るが、目安ではなくしっかりと計測することが成功のポイントだ。
 
特に濾過層をキープすることは重要で、成分の抽出が不十分なまま湯が落ちてしまい、薄っぺらい味のコーヒーになる。
 
抽出後半は余分な成分の割合が増えるため、スピーディーに行い余分な成分の抽出をおさえる必要がある。
 

ハンドドリップの”しめ方”については、猪田彰郎さんも「ぴしゃっとしめる」ことが大事とされています。
 
関連記事をご覧ください。

蒸らしの失敗例2つと原因

ハンドドリップでは、現在はほとんどの方が”蒸らし”を行います。
 
蒸らしの状態は当然コーヒーの出来を左右するわけですが、残念ながら失敗することもあります。
 
失敗例には以下のようなものがあります。原因も知ることで失敗を防ぐ参考にしてみて下さい。
 
陥没してしまう
蒸らしが失敗する例のひとつに、中央部分が陥没する、もしくは膨らまない、といった現象があります。
 
これは何が原因で起きるのでしょうか?

中央部分が陥没する、膨らまない時は、まず豆の鮮度が落ちていることが考えられる。
 
また、新鮮であっても湯温が低すぎると同じような現象が起こる。
 
冬場は室温も低いのでドリッパーも湯煎して温め、水分を十分に拭き取ってから使用する。


 
蒸気が吹き出す
フィルターとドリッパーが完全に密着するなどして空気が抜けないと、豆の表面から蒸気が抜けることがあります。

蒸らしの際にプツプツと穴が開き、蒸気が吹き出して割れることがある。
 
煎りたてで炭酸ガスが多い、メッシュが細かすぎる、微粉が多い、湯温が高すぎるなどの場合、空気をうまく逃がし切れない。
 
蒸らしが不十分になりまとまりのない味になる。

ドリッパーとペーパーフィルターの間には、リブにより空気が抜ける道が作られています。
 
空気が適度に抜けることでハンバーグ状の粉面が保持され、十分な蒸らしが可能になります。