当サイトのタイトルは「美味しいコーヒーを」ですが、美味しいコーヒーとは?との問いに答えるのは簡単ではありません。
 
個人の好みに関る話なので、「絶対的に美味しい」と評価できるコーヒーを淹れるのは極めて難しいのです。


 
なのでカフェ・バッハの田口護さんは、「美味しいコーヒー」を「よいコーヒー」と定義づけられています。
 
この「よいコーヒー」について、田口さんの著書「コーヒー抽出の法則」12~14ページを参考にまとめます。


コーヒー抽出の法則
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美味しいコーヒー≒よいコーヒー

田口さんは「おいしいコーヒー」について、このような見解をお持ちです。

もう一つ、明確にしておかなければならないことは、「おいしいコーヒーとはどういうことか」という問題である。
 
一見簡単な問題のようだが「おいしい」の判断は「好き」「嫌い」と同じで、個人的な好みや体調など様々な条件に左右されるため、定義することが難しい。

そこで「おいしい」の前に「よいコーヒー」という評価基準を使うわけです。

そこで客観的な表現として、「おいしい」の前に、「よいコーヒー」「わるいコーヒー」という表現を好んで使用している。
 
そうすれば、誰にとってもどんな状況でも明確な基準を提示することが可能で、再現性を高めることができる。
 

よいコーヒーとは、「悪い」要素を極限まで除いたコーヒーのことです。

味が悪くなる要素をできる限り除去すれば、その結果抽出されるコーヒーは「適正な範囲内」の「よいコーヒー」となる。
 
「適正な範囲内」であれば、基本的には「まずいコーヒー」にはなりえない。

味を毀損する要素を無くした、「ストライクゾーンに入ったコーヒー」=「よいコーヒー」というわけです。
 
好みの問題はあるにしても、これならばとりあえずは評価に値するコーヒーを淹れられます。
 
田口さんが挙げる、「よいコーヒー」を作る条件は以下の4つです。

欠点豆のない良質な豆

これは値段が高いという意味ではなく、欠点豆をしっかり取り除いてあるという意味です。
 
ドリップに適した豆だけで淹れたコーヒー、というわけです。
 
欠点豆とは以下のような豆を指します。

発酵豆 カビ豆 死豆 未成熟豆 虫食い豆 黒豆 コッコ(果肉が残ったままの豆) パーチメント(内果皮) 割れ豆 貝殻豆 レッドスキン(乾燥中に雨を被った豆)

 
こうした欠点豆が紛れ込んでいると、ドリップ技術が優れていても異臭や腐敗集、濁りの原因になってしまいます。それではさすがによいコーヒーとは呼べません。
 

 
日本で販売されている豆は基本的に品質が良く、欠点豆の混入は少なくなっていますが、ごくわずかでも欠点豆が混じっていると風味が台無しになる可能性もあります。
 
念のためハンドピックを行うと万全です。

焙煎したてのコーヒー ”賞味期限”内の豆で

環境や保存方法によって違いがありますが、コーヒーの賞味期限は焙煎後二週間が目安になります。(豆のまま室温で保存した場合)
 
期限を過ぎた豆で淹れたコーヒーはどうしても風味が落ちます。
 

 
温度や湿度が高いところでの保管は劣化スピードを加速させるので、長期保存なら冷蔵か冷凍がおすすめです。
 
小分け&密封して冷凍すれば一か月以上保存できます。

適正に焙煎されたコーヒー

焙煎の目的は、生豆が持つ特性や個性を最大限に引き出すことです。
 
最適な焙煎度は豆によって異なるため、浅煎りから深煎りまで試してみて香りや味を確認するのが理想的です。
 

 
それが難しい場合は、「珈琲大全」などの解説を読んで豆ごとの適切な焙煎の参考にするのも良いでしょう。
 
その豆に向いていない焙煎度で美味しいコーヒーを淹れるのは難しいもの。
 
豆の良さを引き出せる適切な焙煎を施しましょう。

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挽きたて、淹れたてのコーヒー

コーヒー豆は挽くと風味が急速に失われるのはよく知られています。なので保存は豆のままで、抽出する直前に挽くのが原則です。
 
挽くと表面積が一気に数百倍になり、空気との接触面もそれに伴い膨大になります。劣化や酸化が一気に進むのです。
 
もしも挽いた状態で保存するなら、密封して冷蔵庫で一週間が限界です。しかしあくまで挽いてすぐドリップするのが理想です。
 

まとめ「よいコーヒー」とは

以上をまとめると、田口さんが考える「よいコーヒー」とは以下のようなものです。
 
「欠点豆を除去した良質な生豆を適正に焙煎し新鮮なうちに正しく抽出されたコーヒー」
 

 
この「よいコーヒー」が万人に「美味しいコーヒー」とは限りませんが、その評価を得られる最低限の条件は満たしているのではないでしょうか。

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