「イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由」によると、「イノダコーヒ三条店」で猪田彰郎さんが出したかったのはこんなコーヒーです。
 
軽くてキレがよく、それでいて、イノダコーヒらしく、しっかりと深いコクがあるもの。


※画像はTimelessさんのネルドリップです(下の関連記事で動画を紹介しています)
 
そんなコーヒーを実現するためにイノダさんが採用したのは
 
ネルドリップにお玉(レードル)でお湯をさす
 
という手法です。
 
このコンテンツでは猪田さんのネルドリップについて、「イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由」24~25ページを参考にまとめます。(この本はとても面白いですよ!コーヒー好きならチェックしてみてはいかがでしょうか)


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粉のグラム数とネルドリップの理由「むっくりした味」

コーヒーも一度にたくさん作ると美味しいそうです。

本店では、ネルドリップで15杯分淹れるのが基本でした。15杯分いっぺんに淹れると、おいしい。
 
こはんも一緒でしょ、一合炊くよりも三合、三合よりも大釜で炊く方がおいしい。コーヒーも同じ屋根。225グラムの粉で15杯分とっていました。

ネルドリップを使うのは当時の事情があり、ネル独自の味が出せるからです。

ネルドリップは創業当初からです。戦後すぐでしたから、ペーパーは出回っていませんでしたけど、ネルはありましたから。
 
それとね。ペーパーよりもネルの方がむっくりした味になる。むっくりというのは、口全体にコーヒーの味わいがふわあっと広がる感じやねえ。
 

いまは個人で楽しむハンドドリップならペーパーを使うことが多いですよね。
 
ネルドリップも試してみると同じ豆でも新しい味、それこそ「むっくり」に出会う機会になるかもしれません。

お玉(レードル)でお湯をさす理由二つ

イノダコーヒでは、お玉でお湯をさします。これはなかなか珍しいのではないでしょうか。
 
その理由はもちろん、お玉ならでは利点があるからです。

お湯をさすのは、お玉。レードルです。
 
コーヒー15杯分に対して、お湯を何杯かけたらちょうどいい分量か、お玉やったら明確でしょ。だれがやっても誤差なく淹れられると、先代が思いつかはったんです。

お玉を使う利点はもうひとつあります。

お玉は、注ぎ口の細いケトルに比べて、熱いお湯がコーヒーの粉全体に一気にかかる。
 
この「一気」もお玉のええとこです。
 
勢いよくお湯がかかることで、お湯の温度が冷めず、落ちが早くなる。落ちが早いと味が鮮明になります。
 

個人で楽しむのであれば、猪田さんのお店ほど一度にたくさん淹れることはありません。
 
なので全く同じことをするのは難しいかもしれませんが、「お玉でお湯を一気にさす」ドリップも一度は試してみてはいかがでしょうか。
 
(余談ですが、「お湯を一気にいれる」って、佐野さんの淹れ方に似てませんか?お時間があったら下の関連記事もご覧下さい)