40ccで7万5千円のコーヒーがあるのはご存知でしょうか?
 
大阪八尾市にある喫茶店「ザ・ミュンヒ」で提供されています。
(※アイキャッチ画像はイメージです)

「いくらなんでも高すぎだろ!」と誰もが思うはずですが、お店のマスターによれば「全然高すぎなことあらへん」なのだとか。
 
独自の方法で長期間熟成させるコーヒーのため、相当なコストがかかるそうなのですが・・・。





値段と共に、そのお味も気になるところ。
 
雑誌「週刊新潮」に、このコーヒーについての記事がありました。
一部抜粋して紹介します。

八尾市の住宅街にある喫茶店「ザ・ミュンヒ」。
 
と言うのも、ここのメニューには、
 
「幻の創作(超想定外)コーヒー(世界初・珈琲人生の集大成)」
 
とあり、続いて40ccで7万5000円と書かれているのである。
いったい全体?
 
「このコーヒーは普段はマイナス3度の冷蔵庫に入れているんや。コーヒーは油を含んでいるからこの温度だとギリギリ凍らないんやな。
 
味は貴腐ワインみたいや。コクが凄い。
 
普通のコーヒーは90%が水やろ。でも、これは90%がコーヒーで10%が水やねん」
 
と、マスターの田中完枝さん(69)。いったい、どういうことか。

田中さんの解説です。

「7万5000円のコーヒーは、うちのオリジナルコーヒー”スパルタン”のナンバー1と3を液体のままブレンドして、マイナス3度の樽の中で15年間熟成させたもの。
 
あるとき僕は”スパルタン”を半年くらい放置してたんや。それを捨てる前にちょっと飲んでみたら、全然腐ってなくてな。
 
そのころ、安物の酒を酒樽に入れておいたら美味くなるというのが流行ってたんや。
 
ほんならコーヒーも樽の中に入れた美味くなると思うて入れてみたんや。
 
10年経った辺りから味が急変して、常連のお客さんにひと口飲ませたら”こりゃうまい”ってなってな」

お酒を熟成させるのと全く同じ手法を使っているわけです。
 

(画像は記事の内容とは無関係です)
 
とはいえ、さすがに高すぎのように感じますが・・・

「全然高すぎなことあらへん。
 
僕のところの豆は100グラムで1000~1200円。
 
1キロから100ccを抽出しとるから、1リットルに10キロの豆が必要で、10万円かかるやろ。
 
今9年熟成させている樽は5リットルやねん。材料費が50万円かかる。
 
それを冷やす冷蔵庫が100万円、その電気代が・・・」

と、田中氏の話は続き、とにかくコストがかかることは間違いないようです。
 

(画像は記事の内容とは無関係です)
 
高価なことには間違いないので、この記事を取材した記者さんは「お試し」をすることに。
一番気になる、そのお味は・・・?

いかんせん高いので、スプーン一杯1500円のお試しコースを頼むことにした。
 
田中さんが樽から小さなスプーンに濃茶色の液体を注ぐ。赤ワインのような香りがする。
 
恐る恐る飲みこむと、思わず「うまいっ!」と叫んでしまった。
 
チョコレートのような濃厚な甘さにフルーティな酸味が加わり、かつ、さっぱりしている。

どうやら、とんでもなく美味しいようです。「甘さ」が強調されるのは、ちょっと意外な気もしますが。化学的にどういう変化が起こるのか、知りたいところです。
 
しかしこのコーヒー、さすがにただものではありません。

得体の知れぬ味が舌に残ったままホテルに戻ると胃の調子が悪化し、ここには書けない状態に。
 
濃厚すぎるコーヒーで胃が荒れたのか。値段も味もマスターの個性も、そして飲んだ後も、すべてが非日常であった。

味は抜群ですが、飲んだ後を考えると、ちょっと覚悟が必要なようです。
 
八尾市を訪れる機会があったら、飲んでみてはいかがでしょうか?
 
(このコンテンツは雑誌「週刊新潮」2014年5月22日号126~127ページを参考にしました)